Please give me your heart

この作品は、広島市の平和記念公園を訪れていらっしゃる方々の姿を撮影したものです。私は平和記念公園の上で営まれている、『日常の光景』を探し歩いています。

そして、日常の光景の中に産まれる、一瞬の煌めきを切り取りたいと思っています。

―　平和とはなんだろうか、祈りとはどこから生まれ来るものだろうか、ここは何を伝えるための場所なのか　―

この場所が持つ大きな問いの前にも、変わることのない一瞬の煌めきが溢れ続けています、　そんな小さな煌めきを『平和』と呼ぶのではないか、ということを教えていただきながら歩いています。

　''Please give me your heart''―どうかあなたの心を私にください―　という言葉は、広島の復興を見つめ続けた佐々木雄一郎氏の写真展に置かれていたノートに、どこかの国の誰かが書き残していた言葉です。

現代の広島から小さな煌めきの連続を送りたいと思いながら、私自身もまた写真を撮ることで救われています。

被写体になってくださった方々に、心より御礼申しあげます。　　　　　　　　　大田祐子　　　　　　

平和記念公園を歩いていると、日常と同じ時間が営まれていることに気づかされる。
日常の中、見過ごしてしまいそうな一瞬の中にこそ、平和があると気づかされる。
自然と足を運び、自然と手をつなぎ、自然と手をあわせる人々。
自然と日のほうを向き、自然と芽吹き、自然と花を咲かせる植物。
それを見つめることで、私は救われると同時に、再度問い返されている。
どこかの国の誰かが書き残していった　Please give me your heartという言葉にむけて、
広島から返事を送ってみようと思います。

―Hiroshima Peace Memorial Park―　　　